就活生にありがちな失敗として、「実際には重要でない要素」を元に会社選びを進めてしまう事があります。
このページでは、鈴木祐氏の「科学的な適職」に基づいて、就活生のみなさん(+もしかしたらご両親)が陥りがちな幻想の罠について説明します。
皆さんは理系ですので、就職活動も科学的に進めていきましょう。
「好きを仕事にする」という幻想
え?「好きを仕事にしろ」ってスティーブジョブスも言ってたじゃないですか
あれはただのリップサービスで、ジョブスはテクノロジーが好きだったわけじゃないんです。好きを仕事にすると、デメリットの方が大きいんですよ。
「好きを仕事に」した場合、その仕事の中に「好きでない要素」が出てきた際に、仕事への意欲がへってしまい、「もっと自分が好きになれる仕事があるのではないか。。。」となってしまいます。
また、「仕事に情熱を持っているか?」という質問への回答は、前の週に仕事でどれくらい努力したのか?」に比例していることが知られています。
つまり、「好きだから情熱を持って頑張れる」のではなく、「頑張っていたら、情熱が出てきて好きになる」のが、科学的に正しいストーリーです。
・「好きな仕事」を選ばない
・とはいえ情熱を注げる方が良いので「嫌いじゃない仕事」ぐらいで考える
「給料の多さで選ぶ」という幻想
お金はたくさんあったほうが良いと思うのですが…
仕事を始めてみると分かりますが、そういうわけでも無いんですよ。
「世帯年収800万円が幸福度のピーク」とは、ノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマンの言葉ですが、令和元年の日本の調査結果では、世帯年収が300~500万円を超えると、収入の伸びによる幸福度の上昇は鈍っています。
世界的な調査では「世帯年収が400~430万円を超えると、そこからさらに幸福度を5%上げるためには年収が400~430万円増える必要がある」との研究結果も出ています。
しかも、この調査は「世帯年収」であり、個人年収ではありません。
土木の卒業生であれば、どの職種を選んでも、世帯年収は400万円を超えるまでに10年はかからないでしょう。
・世帯年収が400万を超えると、年収増加で幸福度は上がりにくい
・収入を上げるよりも、あなたの人生には他に大事なことがあるのでは?
「業界や職種で選ぶ」という幻想
これまでに業界の紹介しておいて何を言ってるんですか?
これは本のタイトルなので少し誤解があるかもしれませんね
これは、「これから来る業界・職種!」のような宣伝文句には信ぴょう性が無いですよという意味ですね。
10年後に無くなる仕事ランキング等もありますが、あの信頼性はかなり乏しいです。
土木業界は、これから衰退する等ともいわれていますが、人のいる所には必ず土木があります。
形や業態を変えて生き続けていくのだと思います。
「仕事の楽さで選ぶ」という幻想
仕事よりプライベートを重視したいので、仕事は楽な方が良いのですが。。。
それは良く分かりますし、正解だと思います。
でも、楽すぎる仕事にも弊害がありますよ
ハードワーク等による仕事のストレスが早死にのリスクが高いのは自明の理です。
一方で、楽すぎる仕事では逆に「ストレスが無さ過ぎて幸福度が下がる」という現象も発生しています。
・楽すぎる仕事は逆に危険
・幸せになるためには、適度なストレスも重要
「性格テストで選ぶ」という幻想
性格別のおすすめ業種を書いている記事があったような…
これは自己認識している性格の話ではなく、性格テストの話ですね。
一般に就職活動で用いられている性格テストは、ほとんどがあてになりません。
それをベースにして自己分析を進められている方もいるかもしれませんが、そもそも科学的なプロセスを踏んで作られていないテストがほとんどですので、信頼のし過ぎは禁物です。
・ほとんどの性格テストは当てにならない
・ちゃんと科学的な性格テストは「ビッグ5」という物だけ(今度詳述します)
「直感で選ぶ」という幻想
仕事をしたことが無いので、直感で選ぶしかないような気がするのですが、ダメなんですか?
初めてやる、全く新しいことに対して、人間の直感はあてにならないんです。
人間の直感が働くためには、①ルールが厳格に決まっている、②何度も練習するチャンスがある、③フィードバックがすぐに得られる、の3つの条件を満たす必要があります。
就活はこの3つには当てはまらないため、直感を信じるのはとても危険です。
・就活では直感はあてにならない
・論理的に考える必要がある
「適正に合った仕事を求める」という幻想
面接対策でも「自分の強みは何ですか?」といった質問があるくらいですし、強みを生かせる業種についた方が良いのではないでしょうか?
ある程度は必要ですが、そればかりでは埋もれてしまいます
例えば「現場作業が得意だから」という理由だけでゼネコンを志望したとします。
ですが、ゼネコンを志望している学生さんのほとんどが「現場作業が得意」な学生さんです。
それだけでは埋もれてしまうので、あなたの適正は活かせないかもしれません。
逆に建設コンサルタントに就職したら「建設コンサルタントなのに、現場が得意な珍しい人」として認知され、貴重な人材として活用される可能性もあります。
・「適正だけ」で仕事を選ぶのは危険
・もちろん適性を考えるのは重要
まずは幻想から目覚めてくださいね。
具体的におすすめする会社選びの基準は、また別記事にて掲載予定です
おまけ
もっと詳しく知りたい方は原著をどうぞ。
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